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It is a sweet title of 20.

It is a sweet title of 20.
それは甘い20題
お題形式で進む短いお話詰め合わせ。
戦国、現代社会人、現代学生、等々で推して参るひたすら真伊がいちゃこらしている一冊です。
片思いだったり両思いだったりくっつくまでだったりくっついてからだったり。
有名お題配布サイト様よりお借りして挑戦致しました。
これから始まりそうな恋のお話から、ほのぼの、ラブラブ、イチャイチャまで。
色んな時代の色んな設定のサナダテで推して参っています。
最後の5題は連作で、拙宅安定のヘタレ攻めと乙女受け炸裂中でございます。
※当作品は成人向けになります。未成年の方は購入お控え下さい。
※DL通販中です。

以下本文抜粋

It is a sweet title of 20.



一 鼓動



 顔を見れば高鳴って声を聞けばその速度は増し、身近に存在を感じれば馬鹿になったのではないかと思う程震える。
 刃を交えればこれ以上はない程に跳ね上がる。
 どうしてだろうと思うけれど、この世にあってあの人程自分を昂らせる人はいないと思うし、実際そうなのだから仕方がない。
 思えば思う程それは増していき、自分でもこれ以上激しく掻き毟られればどうにかなってしまうのではないかと思うのだけれど、けれどもそれは自分の意思ではどうにもできなくて。
 ――ああ、どうしてこんなに! と思えど、それは今思えば至極当然の、運命のようだと。
 あの人と俺とは出会うべくして出会った運命の相手なのだと。確信めいた気持ちになる。
 だってそうだろう? ええまあ、そうかも知れませんね。傍に控えてうんざりしたような、可哀想な人を見るような、遠くを見るような表情で薄ら笑いを浮かべる従者に目を向ける。
「なんだその顔は」
 些かむっとして問えば、いや旦那の心の臓って丈夫だなあって。
「だって竜の旦那ほど怖い人ってそうそういないよ」
 失礼だとも思っていない様子で従者である忍は随分失礼な物言いをして湯呑に三杯目を注ぎ直した。
「怖い? そうだったか? 手強いとは思うが俺にはあの方は、……かわ、……っ?」
 いらしいと思う、と続きそうになった言葉を慌てて飲み込んで、言葉のお供にした茶の熱さにアチチと誤魔化すように舌を出した。へーと何の感慨もないような様子で相槌を打った従者に居た堪れなくなって大きな力強い目を逸らせば。ここまで聞こえてきそうだよ。
 追い討ちをかけるようにひそっと零された言葉に、かの人を思い描いていた時の倍以上に跳ね上がった。この音は、若しかしたら本当に忍の者には聞こえてしまっているのかも知れないと思えば、止める手立てなど有りはせず、開き直ったように胡座を組み直した。
「この音が俺の気持ちの真実だろう」
 そうですね。一目惚れなんでしょうから。従者の返答にかっと全身が上気して、跳ね上がったのは、紛れもなく己の身の内にある恋心だった――。



五 不意打ち



 来てやったぜ真田幸村ァ!
 そんな言葉と共に城門を吹っ飛ばして居丈高にやって来た馬上の人を、幸村はぽかんと見遣った。
 何事かと思う程城外が騒がしくなったと思えば、戦装束に身を包む間もなく煌く蒼を纏った人が目の前に現れたのだ。それは、それこそもう、青天の霹靂としか言い様がなく、忙殺され暫くお互いに―と言っても専ら幸村がほぼ一方的にしていた―行き来がなくなっていて、日々今頃何をしておられるのだろうか、などと考えては自分には似つかわしくないと思うような溜め息など零していたのだから。
 その矢先にこのような来訪など、思いも及ばずで。
「政宗殿!」
 余りにも嬉しくて、破顔一笑。手に持った装束を放り投げて三日月を頂く人へと駆け寄った。
「Hey! 真田! 暫く振りじゃねえか」
 思い描いていたのよりも、もっともっと綺羅々しい一つ目が楽しそうに撓んでいるのを見て、ああ、自分はこの人に本当に会いたかったのだ、心惹かれているのだと思いを噛み締めなおす。
「会いたかったか?」
 強気な表情でこれまた不遜な物言いをした政宗に、幸村は一も二もなく頷いた。
「勿論でござろう」
 その返事に満足したのか、そうかと頷いた政宗は、頂く三日月のせいで見え難いけれど、僅かに頬を染めているようにすら見えて。
 この不意打ちの来訪に、心躍らせた幸村も頬染めて。
 あーあ、どうすんのこの城門、と嘆く忍と文句があるかと傍に控えていた右目と謳われる従者がひそひそとしているのに気付いた振りもなく、お互いはお互いしか目に入らぬようで――。
「お会いしたくて堪りませんでしたぞ」
 跪きその身分差に則った態度でいた幸村が不意に立ち上がりそう吼えれば、いやに細くme too. と聞こえて。
「左様か!」
 やけに嬉しそうに高らかに笑った幸村は馬上の政宗を抱え下ろしたのだった。Shit! と喚く政宗の不意打ちすんじゃねえ! と叫ぶ声が上田の空に響き渡ったのだった――。



十 ひざまくら



 久しぶりに二人揃って得られた休日に、幸村と政宗は何をするでもなく、共に暮らすようになって随分経つ部屋の一つでただ自堕落に過ごしていた。
 もうこの部屋に住み始めてどの位経つのか、契約更新を二度はしたはずなので、そろそろ五年か六年か。そしてそれよりも二人の付き合いは長くて、たまの休みだからと言って張り切る程初々しい関係でもないのだ。
 けれどもそれは気持ちが冷めてきているとか、マンネリになってきているだとかはなくて、寧ろお互いにお互いこそが大切で大事で好きなのだと日々実感するばかりで。
 だからこそこうしてお互いに何をするでもなく、特別な言葉もなくそれぞれに好きな事をしていても、お互いが同じ空間にいることで安らぎを覚えるし、またそれが当然になるまでに、紆余曲折だってあったのだ。そうして今二人は、同じ部屋で別々の事をしているのだけれど。
「あ? むむ?」
 雑誌片手に微妙な唸り声を上げた幸村に、喉が渇いたので飲み物を淹れに行ってついでなのでと幸村の分のマグカップも持ってきた政宗はどうした? と声をかけた。
「いや、あの、耳が痒くて」
 何やら恥ずかしげにそう言い募った幸村に、なんだそんなことかよと一つ笑った政宗は、机にマグカップを並べると、雑貨の詰まった戸棚に向かい、引き出しを開けるとほら、と言って耳かきを幸村の前に差し出した。
 ありがとうございますといつまで経っても直らないやや畏まったような口調で礼を述べると幸村はそれを受け取り徐に耳をかき始める。はうーっと何やら意味不明な吐息を零して耳かきをこちょこちょと動かしては傍にあったティッシュに擦りつける。それを暫く繰り返したあと何を思ったか、マグカップに口を付けていた政宗の隣に四つん這いでやって来て、うひひと笑うと胡座をかき、ぽんぽんとその太腿を叩く。まさかと思えばそのまさかだったようで、にこにこと笑っている。こんなに長い間一緒にいてもして差し上げた事がなかったでござろうと、張り切って言うので、政宗はこうなったら梃子でも動かない幸村を見越し、ばーかと呟いてその膝に頭を乗せたのだった。



十五 痕跡



 政宗は起き抜けのぼうっとする頭で上半身を起こして、それはそれは盛大にぼうっとしていた。ぼんやりどころの騒ぎではない。人生で最大級にぼうっとしているのだ。
 昨夜の幸村から齎された全ての事に。嘗てない程政宗の思考を、気持ちを、体を、めまぐるしくしかも色鮮やかに変えてしまったそれに、世界までが変わったようで、目覚めてすぐから重怠い体を眉を顰めながらも起こして、上半身には鮮やかすぎる程鮮やかな痕跡を露に――。
 初めて出会った時から今まで出会ったどの連中とも違うと思って、それは向こうも同じだったようで、お互いに気になりつつもまさかそんなと思いながら、それでもやはり自分の気持ちに嘘も吐けず、思い切ってアンタに惚れてるんだと告げれば、先を越されたと真っ赤になって悔しがられて、某もお慕いしておりますとやたらと真剣に申し出られて、二人で頬染めあったあの日から。何度となくそう言う雰囲気にはなったし、順を追うように触れるだけのkissから、深く息をするのもままならないようなkissをして、そうすればお互いに簡単に反応し合って、次第にescalateして触り合ったり、時には唸るように歯を食い縛る幸村が政宗自身をこれ以上は致さぬゆえと懇願にも近い様子で口に含んだりして。そうして、お互いにとうとう歯止めの効かないところまで行き着き、こうして夜を超えてしまったのだ。もう駄目でござる、耐えられぬ、一生かけて大切にしますゆえと半泣きで迫られて、破く勢いで着ている物を剥ぎ取られ、悪態も吐けない程懇切丁寧に体を開かれて、幸村の言葉に返事をするのも侭ならぬままに、掻き抱かれて。そうして、今まで知り得なかった心地よさと快感と深い感動に見舞われて、こうしてぼうっとしてしまっているのだ。初めて他人と肌を合わせたくせに、やたらと丁寧だったせいなのか、優しくされたからなのか、痛みだとか苦しさだとかは最初の頃だけで、あとは自分でも嫌になる程気持ちよくて、俺はこんなに無節操だったのかと凹むくらいに感じ入ってしまったのだ。好きな相手と想いが通じて肌を寄せ合う事の素晴らしさに、一気に心の中が満たされて――。
 政宗が起きるまでずっとその腕の中に囲っていた幸村が、起きられるかと言いながら上半身を起こしてくれたあとに風呂の用意をしてくると言い出て行って、それから。それから、こうしてぼうっとしているのだ。余りにも世界は一気に変わってしまったから。
 この肌に残る幸村の痕跡に負けないくらいに色鮮やかに――!


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